意識共有の難しさ、その問題と解決の為の具体策

チームで仕事を進めるとき、メンバー同士の意識を共有をしなければ成功はおぼつかない。

しかしながら、生まれも育ちも、志望動機も、経験値も違うメンバー同士の意識共有を図る事は思いのほか難しい。

仕事でも学校でも悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

本記事では、チームで物事を進める上では絶対欠かすことのできない「意識共有」について、その問題と解決策を解説します

注意
これから紹介する方法は、正直楽してできる解決策ではありません。むしろめっちゃめんどくさいです。でも本気で意識共有を図り、チーム力を上げたいと思っている人は、めんどくさがらず読んでみてください。 
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意識共有の方法と問題点

まず一般論として、メンバー全員が同じベクトルに向かうためには、理念や目的が必要だと言われています。

「お客様第一」とか「人に役立つ発明をする」とか「一球入魂・必勝必達」など、いわゆるミッションと呼ばれるものです。

そして、そのミッションに近づくための手段あるいは達成しているかどうかの指標として「目標」を設定し「方法論」を策定します。

とはいえ、掛け声だけで意識の共有を図ることはできません。

「売上100万円UPを達成するためにみんなで頑張ろう!」と言われたって他人事で終わってしまいます。「全国大会出場を目指して意識を高めよう」と声かけしても、やる気になる人もいれば、ならない人もいます。

その問題を解決するためには、外的なインセンティブと内的なインセンティブの両方を満たす仕掛けが必要です。

外的なインセンティブというのは、「何をすればどう評価されるのか」基準を明確にすること。

具体的には、何をどこまでやれば給料や役職が上がるのか明示すること。

ここまでできたら時給100円UPするよ、レギュラーになれるよというものです。目の前に人参をぶら下げて、餌で釣るやり方ですね。

しかし外的インセンティブを満たす方法には限界があります。

子供に宿題ができたらお小遣いをあげる決まりを作っても、短期的には結果が出るかもしれませんが長続きはしません。

それどころか逆に、献血をしてくれたらお金を支払うようにしたら献血をする人が減ってしまったという事例さえあるそうです。

一方、内的インセンティブは楽しいと思えること、自分のやりたいことができているという実感を満たすことにあります。

では、どうすれば内的インセンティブを満たし、意識共有が図れるのでしょうか?

意識の共有を図る効果的な方法

結論から先に言うと「組織の目標と個人の目標のすり合わせ」にあります。

組織・チームのメンバーには様々な人がいます。

その中にはもちろん、外的インセンティブが一番のモチベーションとなるタイプの人もいるでしょう。

外的インセンティブ、つまり個人の目標が自分の収入(給料)ならば、話は早い。

なぜなら会社の目的・目標は利益を上げることです。よって「組織の目標:売上・利益=個人の目標:収入・立場」という式が成り立つからです。

その場合、会社のやり方通りに進める事=収入UPにつながるので、意識を共有しベクトルを合わせることは容易です。

しかしながら、事態はそんなに単純な話ではありません。

収入UPを餌にみんなの意識を合わせる方法は、給与や待遇を与え続けることができる成長企業に限られた話です。

さらにいえば、変化と競争の激しい現在においては、会社の売上を上げる絶対的なセオリーなんてものはありません。

つまり「これさえやっていれば成功する」という方法論というものが無い(正解を誰も持っていない)ため、仮に会社の言われた通りにやっても業績が上がるとは限らないので、当然個人の収入も上がらない。

しかし逆にいえば、会社のやり方と違っても、成果を出せば評価は上がるともいえます。そして実際にそういった評価をする企業、実力主義を取り入れる会社が増えました。

しかし、ここでさらなる問題が出てきます。

それは、個人のやり方がバラバラになってしまう事。

やり方がバラバラになれば、当然チームとして機能しなくなり、結果として成果が出る可能性は低くなる。つまり問題がループしてしまうのです。

実際に、一時的に流行した実力主義・成果主義も近年は見直される傾向にあります。

例えばサッカーなどでも、いくら個人の力が強くても、パスをつないで点を取りたい人と、とにかく守ってカウンターをしたい人が混在していたらチームとして機能しません。意識の共有はそれほど大切なのです。

これらの問題を解消するには「組織の目標と個人の目標のすり合わせ」。
それを愚直にやり続けるしかありません。

では具体的にどのような方法で「組織の目標と個人の目標のすり合わせ」すればいいのでしょうか。ここでは3つの手法を解説します。

組織の目標と個人の目標のすり合わせるための3つの手法

チームの意識共有を図るためには、外的インセンティブと内的インセンティブを満たす必要がある。そして内的インセンティブを高めるためには、組織の目標と個人の目標のすり合わせる必要があるとわかりました。

それでは次に、組織の目標と個人の目標のすり合わせる方法を3つ紹介します。

1)評価の力点を一旦、過程重視に切り替える

結果ではなく過程を評価しましょう。

チームとしては目に見える成果が大事ですが、個人の成長過程を評価するのです。

リーダーの立場であれば組織の成果に貢献した順番に高く評価をしたくなるものです。当然結果を出した人は評価すべきです。

しかし結果に貢献していなくても、個人の目標を達成した人もまた同じように評価すべきです。

そうしなければ、結果を出した人と出していない人の間で、意識の違いが生まれてしまいます。

成長過程を評価されなければ、全て結果だけで判断される組織では、一度下がったモチベーションを再び上げることは困難です。

もう一度頑張って結果出せばいいじゃん、といっても人の心はそんなに単純ではない。そんなの甘いよ、という人もいるかもしれませんが、細かなケアが何よりも大切。

これからのリーダーは、メンバーの日々の行動や過程のしっかり見て、小さな成長を一緒に喜ぶことが大事です。

変化が激しく絶対の正解がない現在においては、遠回りなようで、それが実は近道。

結果として早くチームの成果にもつながるのです。

2)組織目標と個人目標のすり合わせは頻繁に行う。極論、毎日でもいい

ここでいう個人の目標とは、本当の意味での個人的な目標です。

やりたいこと、なりたい自分のことです。

例えば、「プログラミングの技術を高めたい」「デザインのセンスを磨きたい」「英語を使った仕事をしたい」といったことです。

それを組織の目標とすり合わせる。強引にでもすり合わせましょう!

ただしここで気をつけなければいけないことは、組織の目標ありきで個人の目標を立てないこと。

それでは本当の意味で内的インセンティブを満たすことはできません。

ポイントは、個人の目標に対して組織の目標を設定してあげることです。そんなのムリ、と思う方もいるかもしれません。すごく難しい作業です。

「うちはプログラミング技術はいらないから、営業力の方が大事」という会社も当然あるでしょう。

でも初めからムリと諦めず、根気強くすり合わせすることが、これからの時代に必要とされるマネジメントなのです。

それでもどうにも目標地点が違いすぎて、すり合わせできない場合もあるかもしれません。(その場合は酷なようですが、違うチームに異動してもらった方が、自分にとっても組織にとっても有益かもしれません)

ただ一つ言えることは、
個人の目標を中心にした方が多様性が生まれ、イノベーションの確率は高まるということ。これからの時代に成長する組織のあり方だということです。

チームである以上、チームや組織の目標が優先されるのは仕方ない面もあります。

現実問題として、個人の目標は後回しにしなければならない場面もあることは否定しません。でも、だからこそ次の日には再び組織目標と個人目標のすり合わせを行なって欲しいのです。

ホント毎日でもいいと思います。

「いつもあなたの目標を大切にしているんだよ」という姿勢を示すこと(承認すること)が内的インセンティブを満たし、組織に貢献しようという意識を高めるのです。

そして、そんな環境で働けるチームにいる人は最高に幸せですよね。

3)ミーティングは、長いミーティングを月数回行うより、短時間のミーティングを頻繁に行うこと

ミーティングの効果は、接触時間ではなく接触回数の多さにあります。

長い会議を一日中行うくらいなら、毎日10分でも軽い打ち合わせを行うべきです。

人は忘れやすい生き物です。じっくりと時間をかけて伝えても、次の日には忘れてしまいます。

それならば短い時間でも毎日声かけする方が、意識の共有効果は高まります。しつこいと思われるくらいがちょうどいいのかもしれません。

また、この人はちゃんと見てくれている、会社はしっかり評価してくれているという実感は、毎日の積み重ねから生まれるものです。

組織をまとめる立場の人間からしてみたら、いかに客観的にじっくりと評価したか、それ方が大事だと思いがちです。

でも評価される側からすると、客観的な評価かどうかよりも、普段の働きぶりを見てくれている方が実は公平感を感じるものなのです。

ただし一つだけ注意点があります。

これらの手法を逆手にとって、安い給料(低い外的インセンティブ)で働かせる企業も残念ながらあります。いわゆるブラック企業です。

働く側の立場においては、外的インセンティブと内的インセンティブのバランスの取れた会社を選ぶこと、見極めることが大事だと思います。

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まとめ

以上、チームの内的インセンティブを高める組織の目標と個人の目標のすり合わせるための3つの手法を紹介しました。

いかがでしたでしょうか?

「正直めんどくさ!」と思った人。
「そんな構ってちゃんに時間かけてられないよ〜」と思った人!

そう、めんどくさいんです。。。

本気で意識の共有を図りチーム力を高めたいのなら、めんどくさいことをしなくちゃならないんです。

楽な方法、楽な道はないんですよね。

でも決して時間を長くとる必要はありません。
大切なのは心がけ。
一日10分でもメンバーのために話を聞く時間を作りましょう!


会社と個人が従属関係ではなく、お互いに対等に協力関係を構築していかなければならない。今って、そんな時代だと思います。

そんな時代における新しいリーダー像として注目されているのが「羊飼い型のリーダーシップ」です。

もし興味がある人は「羊飼い型リーダーに必要な3つの要素とは」にて詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。


チームではなく個人でも働ける時代。フリーランスなど自由な働き方に注目も集まっています。

それでも、たとえフリーで働いていたとしても、何かしらのプロジェクトで、チームの一員として働く、ということがなくなることはないでしょう。

だから、意識を共有することの大切さはこれからも先も変わらないのではないでしょうか。

時と共に変化すると思うし、それは違う!という意見もあると思います。

もし違う考え方があれば、是非教えてください。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

以上、おるかでした!

●チーム力を高めるのにとても参考になる本

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