入浴中や入浴後に手足がしびれたり、立ちくらみがするのはなぜでしょうか?
それは入浴すると、血圧・血流の変化や脱水症が起こるからです。
これらの変化が、手足のしびれや立ちくらみの原因だと考えられます。
しかし、一時的なものだと軽く考えてはいけない場合もあるので注意が必要です。
場合によっては、病気の恐れも考えれるので注意しましょう。
本記事では、入浴時のしびれや立ちくらみの原因と対処法、そして注意すべき点を説明します。
入浴時のしびれ、立ちくらみの原因は何か?
先日、スーパー銭湯で温泉に入っていたら、手足がしびれて大変なことになりました。
最初は軽いしびれを感じた程度でしたが、しばらくすると湯船から出るのも苦労するくらいにしびれ始め、入浴後もしばらく治らないほどでした。
「なんじゃこりゃ」とびっくりするくらい結構なしびれで、しかも湯船から出た後はその場から動けないほどの立ちくらみを経験・・・原因も分からず少し怖くなったので、調べてみました。
原因① 血圧、血流の変化
血圧は体が冷えると上昇し、温まると下降します。
温泉やお風呂では、「冷房の効いた脱衣所で服を脱ぐ」「熱い湯船につかる」というように、血圧が急激に変化することが多く、知らず知らずのうちに体に負担がかかっています。
・冷房の効いた脱衣所で服を脱ぐ→体温が下がらないように血管が収縮し、血圧上昇
・熱い湯船につかる→体が温まり血管が膨張し、血圧降下
といった具合です。
そして湯船から出ようとして立ち上がると、上半身にあった血液が下半身に下がっていくことで、一時的に脳に血液と酸素が行き届かなくなり貧血状態になり「立ちくらみ」が起こりやすくなります。
これを「起立性低血圧」と呼びます。
特に温泉はお湯の温度が熱く、外気温との差が大きいため、体への負担が大きくなりがちです。
つまり急激な血圧・血流の変化が、立ちくらみ(ふらつき・めまい・視野が暗くなるetc)の原因になるということです。
よって、湯船から出るときは急に立ち上がらず、周囲のものにつかまりながら少しずつ立つようにしましょう。
それでは「手足のしびれ」はどうなのでしょうか?
手足のしびれの原因の多くは、「神経の圧迫」か「血流」にあると言われています。
入浴中の手足のしびれは、後者の血流によるものだと考えらます。
通常、体のしびれは血行不良=つまり血流の流れが悪くなることで生じ、血流が改善することで緩和されます。
よって、入浴して血流が良くなっている状態で手足のしびれを感じるのは、話が矛盾していますよね。
しかしながら血流が改善される過程で、しびれを感じるということもあります。
実は しびれは、血流が悪化する過程でも、改善される過程でも生じることがあります。
血流が改善される過程におけるしびれで分かりやすい例は、正座をした時です。
正座をして足がしびれると、しばらくすると慣れてきますが、再び立ち上がる時にしびれを感じることがあります。
よって血流が原因である場合は、時間の経過とともに自然としびれは収まります。
湯船から出た後も感じる体のしびれは、今度は逆に血管が収縮し血流の流れが悪くなることが原因だと考えられます。(正座を開始した時に感じるしびれの方です)
特に温泉のように熱い湯船と寒い外気の差が激しい場合、血圧・血流がより急激に変化しやすいため、しびれも起こりやすいと考えられます。
原因② 発汗による脱水
熱い湯船に入ると大量の汗をかきます。
例えば、42度のお湯に15分入っていると約800mlの汗をかくと言われています。約1リットル、ペットボトル1本分以上の水分が体から出ていることになります。
また汗をかくと水分と同時に、体内のナトリウムやカリウムなどの電解質が失われます。
電解質は、神経・筋肉・心筋の収縮に関与していて、足りなくなると「手足のしびれ」「脱力感」「不整脈」が生じることがあります。
また当然ですが、水分と電解質が失われると体温が下がりにくくなり、発熱状態が続き脱水症を招きます。
温泉に入るときは、こまめな水分補給を心がけましょう。
温泉で「しびれ」「立ちくらみ」を感じた時の対処法と予防法
温泉やお風呂で体のしびれや立ちくらみを感じた時は焦らず対応しましょう。
またしびれや立ちくらみが起こらないように、予防することも大切です。
「しびれ」「立ちくらみ」の予防と対処方法
・入浴前に水分補給をする
・極度の空腹状態、塩分不足の時はお風呂に入らないようにする
・自宅の場合、脱衣所や部屋を温めておく
・湯船には飛び込んだり急に入らないようにする
(涼しいところから急に熱いところに入らない)
・かけ湯をして体を慣らしてから湯船に入る
・温泉では、いきなり熱い温泉ではなく、ぬるいところから順に入るようにする
・入浴中、入浴後も水分補給を怠らない
・熱い湯船につかったら、ぬるい湯船につかるか、半身浴などで徐々に体温を下げる
(熱いところから急に寒いところに出ない)
・湯船から出る時は、周囲のものにつかまりながら、ゆっくり出る
・もし体しびれや立ちくらみが起こったら、転倒などの危険があるので焦らず動かないようにする
・しびれや立ちくらみがひどい場合は、周囲の人に助けを求める
基本的には、水分補給をして安静にすることで、血圧と体温が安定すれば、しびれや立ちくらみは収まるはずです。
しかし、中には高血圧・脳梗塞・低カルシウム血症の疑いがあるケースもありますので、注意も必要です。
他に疑うべき症状
多発硬化症
ヘルニアや頚椎症などの炎症がある場合に、入浴により患部が温まることにより炎症が強くなることで感じるしびれ。
脳出血、脳梗塞
原因は血圧、血流の急激な変化によるものだが、体の左右どちらか片側にのみしびれを感じた場合は注意が必要。
加齢や不規則な生活習慣により、血管が弱くなっていたり血液がドロドロになっている恐れのある人は特に注意。
低カルシウム血症
血中のカルシウム濃度が低下している人が、入浴によるストレスなどで筋肉のこわばりやしびれが強く現れている恐れがあります。
まとめ
一時的な血圧、血流の変化によるしびれであれば問題ありませんが、脳卒中などのサインである可能性もありうるので、病院で受診するようにしましょう。
また一時的なしびれであっても、気になるようでしたら専門の医療機関に相談することをおすすめします。
日頃から、健康診断・血液検査を受けてご自身の体の状態を把握しておくことも重要です。
以上、おるかでした。