【手柄もプライドも捨てる】自分を捨てる仕事術-鈴木敏夫が教えた「真似」と「整理整頓」のメソッド

今回紹介する本は、映画プロデューサーである石井朋彦さんの著作「自分を捨てる仕事術-鈴木敏夫が教えた「真似」と「整理整頓」のメソッド」。

スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんの元で数年間に渡って付き人(?)のように一緒に働き続けた石井さんの仕事術に関する本です。(ちなみにKADKAWA、ドワンゴの会長・川上量生さんも鈴木さんの見習いやってますよね)

鈴木敏夫さん本人が書いた著作を紹介した「宣伝と広告のはなし。「ジブリの仲間たち」の記事」がより広告宣伝に絞った内容であるならば、こちらの「自分を捨てる仕事術」はビジネスマンとして一人前になるコツ、よりマネジメント寄りの実践的な仕事術について書かれた本になっています。

日本映画最高興行記録を出したスタジオジブリ作品『千と千尋の神隠し』から本格的に宣伝に関わり、鈴木敏夫のもとで映画のプロデュースを学ぶ。
Production I.G では、押井守監督作品『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』や神山健治監督作品『東のエデン』などの話題作をプロデュースされた映画プロデューサーです。

著者は石井さんですが、書いてある内容は基本的には鈴木さんの教え。

新人であった当時の気持ち、そして経営者でありプロデューサーという立場になった現在。

鈴木さんの教えを受けながら、実際に自分も映画プロデューサーという立場になった石井さんだからこそ、その教えには説得力があります。また読み物としても大変面白かったです。

「社会の中で何者でもなかった若者が、鈴木さんの教えを受けて何者かになっていった」

そのエッセンスをとことん紹介します!

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自分ではなく、人を活かす仕事術


自分を捨てる仕事術-鈴木敏夫が教えた「真似」と「整理整頓」のメソッド-

「自分ではなく、人を活かす」

これってカンタンに言うけど、すごく難しいことです。特に、若者にとっては。

これから自分の力が社会で通じるか、若い頃って一番根拠のない自信と希望と野心を持っている時期ですからね。

想像ですが、徹底して自我を認めない鈴木さんの教えは、若き石井さんも相当理不尽に感じたのではないでしょうか。「3年間、俺のマネだけしてろ!」なんて言われたら、普通やる気無くしちゃいますよね。

とはいえ、この教えを徹底すれば石井プロデューサーのように、社会で何者かになれるのも事実だと思います。

これから紹介するどれか一つでも、徹底して真似してみることをオススメします。

1)自分の意見を捨てて、ひたすらノートをとる

その場で話されたこと、起きたこと、相手の身振り手振り、場の雰囲気も含めてすべて書き残す。

とにかく他人の意見だけを書き、まとめ、読み返えすように言われたそうです。

「君の意見はいらない」

なんていわれたら普通イラッとしますよね。
でも石井さんは、とにかくノートをとり鈴木さんの真似をすることに徹したそうです。

そして、もし「君の意見は?」と言われたら・・・

それまで話された議論の中で必要だと思うものを引き合いに「●●さんがおしゃった意見に近いのですが、、、」と切り出し、その意見を話すのがコツだそうです。ここでも、あくまで徹底して自分は捨てます。

2)オリジナリティについて

「誰が言ったとかどうでもいいじゃん」

いい発言をしたら、このアイデアは自分の発案!ってアピールしたいものです。

でも鈴木さんいわく、「そんなことはどうでもいい」。

むしろ、自分が考えたことでも「あなたにもらった意見」だと表明するのだそう。。。

これは、アイデアマンと実行者は分けて考えたほうがいいという信条からきているそうです。

たしかにアイデアはキーマンに言わせて、それをうまく実行できるひとにやらせた方がスピードは上がります。結果を出すためなら、手柄はじゃんじゃん人にあげてしまう。

結果が求められるプロデューサーならではの発想ですよね。

3)人はだいたいひとつの得意技で勝負してるもの

欠点はどうでもよく、たった一つでも得意技を引き出しさえすればいい。

この達観した割り切りが、実はマネジメントの秘訣かもしれませんね。

4)自分にこだわるとスランプにはまる

他人のために仕事をする、頼まれたからやる、求められたとおりやってみる。

自分にこだわるからスランプになる。自分の思い通りにいかないとストレスが溜まりますよね。

自分を捨てれば自ずとストレスもなく、スランプにもならないというわけです。

とはいえ自分を捨てるのが、すごーく難しいのですが、一度求められたとおりにやることで思いもよらなかった学びが得られることも確かです。

5)劣等感を刺激する人に近づく

劣等感、コンプレックスを持つ相手は、たいていの場合、自分にはないものを持っている人ですよね。

劣等感を乗り越えて、その相手に近づき、学ばなければ自分が向上することはありません。

石井さんにとってのコンプレックスの相手は、大ヒット映画「君の名は。」のプロデュースでも有名な川村元気さん。

鈴木さんの教えの通り、川村さんのやること全てをメモにとり、本も映画も全て見て徹底的に研究し尽くしたそうです。すごい!

6)真似したい人の方法(行動、服装、持ち物、話し方など)を完コピする

自分を捨て空にして、取り込む。

そうやって真似ることで「新しい自分」が得られる。

そして、どうしても真似できなかったところが、自分のオリジナリティ・個性・核であるといいます。

色々な方法を試さなければ、自分の得意技だって見つからない。それをはっきりさせるためにも、食わず嫌いせず様々なことに挑戦していきたいものですね。

7)相談しやすい(されやすい)人とは、解決しない人

え?相談しやすい人は解決してくれる人じゃないの?

そう思った方も多いはずです。

でも人間心理からいうと逆。なぜなら問題を解決しちゃうと、相談した人にも責任が生まれるからその人は困る。

本当に解決して欲しいのか、ただ聞いてほしいだけなのか見極めることが大事なのだそうです。

ただ聞いてほしい相手の場合、相談を解決してあげようとする必要はないのです。

プロデューサーの仕事のメソッド

映画は予算も人数もすごく大きなプロジェクトです。その大きなプロジェクトの総責任者である映画プロデューサーの仕事術から学ぶことは数多くあります。

紹介しきれないほどたくさんの学びがありましたが、残りを箇条書きでいくつか紹介します。

・スケジュールは自分中心で決め、アポの予定も1箇所しか出さない。

・とにかく整理整頓、できる人ほど自分は暇だという。余白を生み生産的な仕事に集中できる。

・話すことを3つにわけ最初に「3つある」と宣言する。すぐ本題に入らず「枕」(時事ネタなど)から語る。ゆっくりお腹から堂々と、強調したいときは身振り手振りをまじえて

・沈黙を恐れない、軽いあいづちは信用をなくす

・プライベートに踏み込む

・本来の自分をさらけだすのが得

・「人が見ている自分」が自分

・どんどん人の力を借りる、聞く、本質をあぶりだす

・相手の話を聞くとき、大きな紙に目の前でメモしながら聞く

・情報を正確に伝えるだけで信頼を得られる

・ダメな人はそばに置くけど、悪い人は置かない

・自分から遠いスタッフほど大事にしろ、チーム全員を巻き込む

・できるかわかりませんがやってみます、という謙虚なスタッフには任せる価値がある

いかがでしょうか。

これらは映画のプロデューサーだけでなく、マネジメントに携わるすべての人にとって参考になる教えだと思いませんか。

これからマネジメントを身につけたいという方にも、今すでにマネジメントする立場にいる方が自分の仕事ぶりを振り返る場合にも、非常にタメになる内容が満載の本書。

時々手にとって読み返したくなる一冊です。

まとめ:「自分を捨てる仕事術」の感想

鈴木ファンの自分的には、満足な内容でした。

というのも、自分自身も自らの才能を信じないで他人の力を借りるスタイルだから。

とはいえ1年に何度か、「自我」とか「プライド」がむくむくと前面に出てしまうことも。ただそういうときはたいてい失敗しています。。。

自分を捨てるのは本当に難しい。

宮崎駿、高畑勲という圧倒的な天才と巨匠が側にいたら、さずがに諦めがつくかなーとも想像しますが、いや、それでも難しいでしょうね。

その分、鈴木さんはプロデューサー自ら表舞台に出てスポットライトにあたりバランスをとっているのでしょうか。

何十年一緒にいても宮崎監督と高畑監督は面白い、と鈴木さんは言っています。もちろん本音でしょう。でも私は、自分を捨て脇役に徹するのは、まだまだ難しいと感じる時があります。修行が足りない。。。

最後に一番印象に残った言葉を紹介して締めくくりたいと思います。

「人にはそれぞれ得意技があり役割がある」

自分を捨て、人を活かすことに徹するのが、マネジメントの極意。

チームで仕事をする人には、普段とは角度の考え方が知れる必読の一冊です。

以上、おるかでした!

ジブリ関連の本はビジネス書としても面白い!

【宣伝と広告のはなし。】ジブリの仲間たちの感想

2017.09.27

(内容紹介)
「3年間、自分を捨ててオレの真似だけしてろ! どうしても真似できなかったところが君の個性だから」
アニメプロデューサー・石井朋彦。その真摯な仕事の根底にある「自分を捨てる仕事術」とは何か。
「自分のなかには何もない。何かあるとしたら、それは外、つまり他人のなかである」という真実を、強い筆力で伝える1冊。
スタジオジブリの名プロデューサー鈴木敏夫が若き著者に教えた、会話術、文章術、人身掌握術、トラブル対応ほか、具体的方法論のすべて。

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